Q&A

絵具全般

  • Q1.

    絵具の組成について教えてください。

    • A1. 絵具の基本構造は、顔料と糊の役割をするバインダーから成っています。顔料は色のついた粉末で絵具の発色成分になります。バインダーが乾性油なら油絵具、アラビアガムなら水彩絵具と、バインダーの種類が変わると絵具の種類が変わります。
  • Q2.

    顔料と染料の違いはなんですか。

    • A2. 両方とも、見かけは色のついた粉ですが、顔料と染料の違いは、水や溶剤に溶けるか溶けないかです。溶けるほうが染料で、溶けないほうが顔料です。
  • Q3.

    絵具のチューブをみたら、使用顔料(C.I.Name)についての表示がしてありました。そこに示されている無機・有機・混成はどのような違いがあるのですか。

    • A3. 顔料は大きく分類して、無機顔料と有機顔料の二つに分かれます。これは化学物質が無機物と有機物に分類される、化学的慣習に基づいているものです。「混成」というのは、無機顔料と有機顔料の混合でできている絵具をさします。
      ■無機顔料
      耐光性:一般に優れている
      耐、酸・アルカリ性:劣るものがある
      耐、油・溶剤性:一般に優れている
      着色力・隠蔽力:隠蔽力に優れるものがある
      ■有機顔料
      耐光性:一般にやや劣るものから優れたものまで様々
      耐、酸・アルカリ性 :一般に優れている
      耐、油・溶剤性: 劣るものがある
      着色力・隠蔽力:一般に着色力が強く隠蔽力は弱め

      耐光性 : 耐光性が低い顔料は強い光によって褪色・変色する。
      耐、酸・アルカリ性 : 耐酸性の弱い顔料は酸性ガスなどの影響で変褪色し、耐アルカリ性の弱い顔料はフレスコ画に使えない。
      耐、油・溶剤性 : これが弱い顔料でできている油性絵具を塗り重ねると、下色が滲み出してくる事がある
      着色力 : 混色の際、一方の色を着色する力の強さ。
      隠蔽力 : 塗り重ねの際、下色をおおい隠す力。絵具の透明性に関係がある。
      ※かつて有機顔料は無機顔料に比べ、劣るものとされてきたきらいがありますが、近年は耐光性や耐溶剤性に優れた高性能の有機顔料も開発されています。
  • Q4.

    教室の先生が言う、「染料系の絵具」という意味はなんでしょうか。

    • A4. レーキ顔料や有機顔料を使用した絵具のことを染料系の絵具と仰っているのかと思います。レーキ顔料は有機顔料の仲間で、染料を不溶化(顔料化)して作られた顔料です。染料をベースに作られているので、通常の顔料よりも耐溶剤性に劣る傾向があります。
  • Q5.

    色の名前はどうやって決めるのでしょうか。

    • A5. 絵具の色名には規則等はなく、各メーカーがそれぞれの意図を持って決めています。顔料の化学物質名によるものであったり、天然鉱物の産地に由来するものであったりといろいろです。覚えやすくてイメージしやすい色名にしています。
  • Q6.

    同じ色の名前なのにメーカーによって色が違うのはなぜでしょうか。

    • A6. 絵具メーカーは、それぞれの絵具に合う顔料を世界中にある顔料メーカーから選び、絵具にしています。たとえ同じ化学構造のものであっても、製造法の違いなどによって、わずかに色の違いがあるものがあります。コバルトブルーなどは、原料の配合バランスや焼成温度によって、その色あいが変化します。また、同じ色名でもメーカーがイメージする色はそれぞれ異なるので、そのこだわりが違いとして出てきます。
  • Q7.

    他社の絵具同士を混ぜて使ってよいですか。

    • A7. 同じ種類の絵具同士、油絵具と油絵具、水彩と水彩、といった混合であれば、メーカーは異なっていても基本設計は同じものですから、支障はありません。ただし、アクリル絵具などバインダーが化学由来の絵具は、相性によってはゲル化したり、固着力が弱くなる可能性があります。
       
  • Q8.

    HUE(ヒュー)とかNEO(ネオ)ってなんですか

    • A8. HUEは色相という意味をもちます。高価な顔料や毒性のある顔料を使った絵具に対して、その顔料を使わず、安価な顔料や別の顔料を用いてその色を再現しています。NEOは水彩絵具に用いられますが同じ意味になります。例えばコバルトブルーはコバルト顔料を使用していますが、コバルトブルーヒューは、ウルトラマリン、酸化チタン、フタロシアニンブルーと3種類の顔料を使用しています。
  • Q9.

    色名についているトランスとはどういう意味ですか。

    • A9. Transparentの略で、「透明な」という意味です。透明感が非常に強くて、特に薄塗りの場合に、下に塗った色がきれいに透けて見える効果のある色です。クサカベでは、ローシェンナ トランスとバーントシェンナ トランスがあります。普通のローシェンナやバーントシェンナと同じ化学的組成をもった顔料なのですが、粒子がたいへん細かく、著しく透明な性質があるので、透明なローシェンナやバーントシェンナという意味で区別しています。もともとが透明色である場合は、あえてトランスの名をつけていません。本来はそれほど透明でないものに、透明バージョンがある場合のみ「トランス」をつけています。
  • Q10.

    絵具は色によって安いものや高いものがあるのはなぜでしょうか。

    • A10. 絵具の価格は使用している顔料の価格に比例します。高い顔料で作った絵具は高くなり、安い顔料で作った絵具は安くなります。顔料の価格は、希少な原料から作られたり、製造コストの高いもの、需給の限られた顔料などは高くなる傾向があります。ただし、顔料の価格は、顔料の優劣に必ずしも一致しません。高い絵具のほうが良い絵具というわけでもありません。
  • Q11.

    安い絵具や安い道具で描くと、良い作品はできませんか。

    • A11. 安くても質が良い絵具や道具はありますので、一概にそうとは言い切れません。質が悪い絵具や道具は、発色に満足がいかなかったり、出来上がった作品の保存性に問題があったり、すぐに使い物にならなくなったりと、なにかと歓迎できない不愉快さをもたらします。値段関係なく自分に合った画材に巡り合うことが大切です。
  • Q12.

    絵具のチューブに、耐光性とか、堅牢性という表示があります。どういう意味でしょうか。

    • A12. 耐光性は絵具メーカーが各社それぞれ独自の表記の方法をとっています。クサカベでは星のマークの数で識別表示しています。油絵具は「耐光性」を星5段階で表示しています。星の数が多いほど、光で変色しにくい色になります。水彩絵具は、最高位の耐光性をもつものは、星5ではなく「高耐光性」の文字で表記しています。アキーラは、「耐候性」と光だけでなく天候も加味した条件のもと、星4段階で表記しています。「堅牢性」は様々な「耐久性」を一括りにした言い方になります。これらの情報は、メーカーが持っている知見に基づいて提供されているものですが、その絶対性や信頼性を保証するものではありません。
  • Q13.

    絵具には、有害性あり、のマークが表示してあるものがあります。具体的には、どのくらい有害なのでしょうか。また、安全な扱い方を教えてください。

    • A13. 有害性とは健康への影響の程度で、その強さの尺度としては急性毒性の強さの程度を参考にするのが、一般的です。急性毒性の最も一般的な尺度はLD50=「半数致死量」で、それは、実験動物の半数を死にいたらしめる投与物質の量のことです。その単位はmg/kg(投与物質量/実験動物の体重)で表されます。そして、その数値が小さいほど毒性は強く、数値が大きいほど毒性は弱くなります。
      国連が勧告した世界的に統一されたGHSによると

      区分1:LD50値 5以下  :飲み込むと生命に危険
      区分2:LD50値 50以下  :飲み込むと生命に危険
      区分3:LD50値 300以下 :飲み込むと有毒
      区分4:LD50値 2000以下 :飲み込むと有害
      区分5:LD50値 5000以下 :飲み込むと有害のおそれ

      絵具の急性毒性ですが、クサカベの全種類の絵具において、LD50の値は5000mg/kg以上です。つまり、有害性がある物質とはいえません。絵具は有害性の低い物質なのです。これは、顔料は水に不溶の物質であり、体内に吸収されないため、と考えられます。唯一、シルバーホワイトなどの鉛白を使用した絵具については、鉛白としての情報が乏しく毒性は認められていないですが、鉛白と似た化学物質の炭酸鉛には慢性毒性があると分かっているため、有害性ありの表記をしています。取り扱いについては、ごく普通の衛生的配慮、つまり、みだりに体内に摂取しない、作業が終わったら手の汚れを洗い流す、といった程度で充分です。それと、みだりに環境中に排出しないことをこころがければよいでしょう。使い終わった絵具のチューブや絵具カスは、燃えないゴミとして扱ってください。さて、油絵具は乾く過程で、ごく微量のガスを出します。この微量の揮発性物質が問題になる特殊なケースがあります。シックハウスの対象物質であるホルムアルデヒドが、ごく微量ですが発生します。いったんシックハウスになってしまった人にとっては、油絵具を描くことはもちろん、油絵を部屋にかけても、つらい症状をひきおこすことが考えられます。作画中のみならず、乾燥中も換気が望まれます。
  • Q14.

    飼っている犬が、絵具を食べちゃいました。すぐ病院につれていったほうがよいでしょうか。

    • A14. 絵具の急性毒性は低いので慌てなくて大丈夫です。消化されなかった顔料は、じきに体外に排泄されるでしょう。もし病院に行く場合、絵具の成分について情報を記載したSDS(安全データシート)を医師に見せていただくとスムーズかと思います。SDSは当社お問い合わせフォームから取り寄せることができます。
  • Q15.

    絵具の全色塗見本を見ましたが、ほとんど同じ色に見えるものもあります。どうやって使い分けるのですか。

    • A15. 色見本で同じ色に見えていても、絵具をごく薄く塗ったときの底色や、白を加えたトーン、透明性、着色力、隠ぺい力、それぞれ異なっています。見ただけではほとんど違いがわからず、実際に使ってみてはじめてその違いに気づく色もあります。
  • Q16.

    ライトレッドの着色力はなんであんなに強いのですか。

    • A16. ライトレッドは、もともと非常に着色力の強い酸化鉄です。白でうすめると、上品なピンクになるのですが、その着色力の強さゆえ、使いこなしにくい色です。最初に白を必要量だけしぼり出し、後から色をちょっとずつ混ぜていくと、無駄なく目的の色が作れます。
  • Q17.

    絵具には透明色と不透明色があるようですが、どうやって区別しているのですか。

    • A17. 機械的に計測した隠ぺい力の数値と、実際に人間の目で見て隠ぺい力の強さを区別します。機械での数値はあくまでも参考程度で、人間の感覚を重要視します。
  • Q18.

    混ぜたら「にごる色」と「にごらない色」を教えてください。色が汚くならないように混色する方法はありますか。

    • A18. 色々な色を混ぜれば混ぜる程、彩度が低下し色がにごります。特に補色の関係にある色同士を混ぜると黒に近い色になります。色が汚くならないように混色する場合、例えば寒色系の色同士と同一系統で混色すると、比較的彩度が落ちにくいです。
  • Q19.

    思った色がつくれません。混色のコツを教えてください。

    • A19. 色々な色を混ぜれば混ぜる程、彩度が低下し色がにごります。特に補色の関係にある色同士を混ぜると黒に近い色になります。色が汚くならないように混色する場合、寒色系の色同士、寒色系の色同士を混色すると、比較的彩度が落ちにくいです。
  • Q20.

    絵具の三原色を教えてください。

    • A20. クサカベの絵具の三原色は以下になります。他のメーカーの色には適用できませんので、各社にお問い合わせください。
      クサカベ油絵具:キナクリドンマゼンタ、パーマネントイエローライト、オリエンタルブルー
      ミノー油絵具:キナクリドンマゼンタ、キノフタロンイエロー、フタロブルー
      AQYLA:ナフトールルビン、イミダゾロンイエロー、フタロブルー
      専門家用水彩絵具:マゼンタ、パーマネントイエローライト、モナストラルブルー
  • Q21.

    絵具をチューブからだすと、透明な液体だけ出てくることがありますが、あれはなんですか。

    • A21. 顔料と分離したバインダーです。油彩ならば練り油、水彩ならばアラビアゴムのメディウムです。分離したバインダーは、絵具と混ぜ合わせても、紙に吸わせて捨ててもどちらでもかまいません。
  • Q22.

    絵具を自作する材料は手にはいりますか。また、つくったもので作品を描いても問題はありませんか。

    • A22. 顔料や各種バインダーなど材料はクサカベでも販売しています。道具も画材店等で手に入ります。昔はすべて手作りで絵具を作っていたのですから、ちゃんと作品も描けます。
  • Q23.

    衣服や家具についた絵具を落とす、よい方法はありますか。

    • A23. 衣服なら絵具がついて間もないうちに石鹸をつけてもみ洗いすれば、かなりきれいになります。ただし、残念ながら繊維の奥にからみついた汚れは残ります。固まった絵具は水性クリーナーに一晩つけてもみ洗いすると、比較的綺麗に落ちます。家具の場合は木目に入り込んだ汚れ以外は、ただちにふき取れば大丈夫です。
  • Q24.

    パレット上の使い残した絵具は、どのように処理したらよいでしょう。

    • A24. 水彩絵具は固まっても固形水彩として使用できます。油絵具、アクリル絵具は硬化し始めた絵具は使用せず破棄します。絵具を捨てるにはポリ袋等にまとめて、燃えないゴミとして破棄してください。
  • Q25.

    家族に絵具のにおいが臭いといわれます。防臭剤のようなものはないでしょうか。

    • A25. 油絵具は、絵具自体の油の臭い、溶き油に含まれる溶剤の臭い、さらに油絵具が乾燥する過程で有臭物質を発生しますので、防臭剤などでも完全に臭いを断つことは難しいです。「Zhar油絵具」シリーズは、従来の油絵具や画用液のような溶剤臭、油脂臭がほとんどなく、ほのかな心地よいアロマの香りがします。ご家族の方も快適に過ごすことができます。
  • Q26.

    絵具のマンセル値を教えてください。

    • A26. クサカベでは絵具の色の管理はL*a*b*色空間値で行っており、マンセル値での管理は行っておりません。機械で色を測定する際は、機器の種類や膜厚などでも値が変わりますので、参考にするには難しいところがあります。
  • Q27.

    植木鉢に彩色するのに適した絵具は何ですか。

    • A27. アキーラがおすすめです。完全に固まると耐水性になり、石や金属、ガラスなどに直接描けて素材を選ばず使える絵具です。
  • Q28.

    チューブのラベルが剥がれて何色か分からなくなりました。

    • A28. チューブ裏面下部に英数字の製造ロット番号が印字されています。頭の3桁が色の品番になりますので、品番から色名が分かります。
  • Q29.

    ミノー、ギルド、GEM等のC.I.Nameを知りたいです。

    • A29. HPや各種カタログでご確認いただけます。(カタログに掲載されていない場合もあります。)
  • Q30.

    各種絵具で描いた作品の耐久年数はどれくらいですか。

    • A30. 作品の耐久年数は、絵具だけでなく支持体や描き方、保存環境など様々な条件を合わせて考えなければなりませんので、一概にどのくらいの年数と言うことができません。数百年前の名画や教会のフレスコ画など、大切に保存されてきたものは絵具の種類を問わず現代に残っています。

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