テレピンは絵画技法上、古くから使われてきた重要な溶剤で、松の樹脂を蒸留して得られます。成分はα−ピネンを主とする物質で、日本の絵具メーカーが発売しているテレピンは、ヨーロッパのものよりもα−ピネンの純度が高くなっています。 特有の香気があり、描画に適した蒸発性状を持ち、樹脂に対する適度な溶解力があります。未開封のものは長持ちしますが、容器の半分くらいまで使ったものや、密栓が不充分なものは、空気にふれて徐々に変質します。変質したものは蒸発しきらずにべたつきを残します。したがって、使い残しの古いテレピンは、べたつきがないことを確認してから使ってください。テレピンには弱い感作性があり、まれに皮膚のかぶれをおこす人がいます。テレピンをさらに精製したα−ピネンも売られていますが、テレピンとの性状の差はあまりありません。 ペトロールは石油を蒸留して得られる揮発性溶剤です。石油蒸留物にはたくさんの種類があり、そのなかから、テレピンによく似た蒸発性状や溶解力をもつものが絵画用のペトロールとして使われます。蒸留は絵具メーカーではなく、大手の石油メーカーによっておこなわれます。 ペトロールは単一の物質ではなく、大きく三つのグループにわかれていて、これらの蒸留物の成分バランスは、絵具メーカーによって若干異なります。したがって各メーカーのペトロールでは、微妙な性状の違いがあります。成分のうち、溶解力に関ってくるものが多ければ溶解力も強くなります。 無臭のペトロールや無臭クリーナーは、特に溶解力が強い物質を含んでいないため、溶解力、洗浄力は弱くなります。ペトロールはテレピンのように空気によって変質しないと言われますが、まったく変質しないわけではありません。長期にわたって空気にふれると、やはり変質する場合があります。刺すようなにおいに変わったり、変色したペトロールは使ってはいけません。 テレピンもペトロールも揮発性溶剤ですから、絵具を固着させるはたらきはありません。乾性油やワニスの希釈剤として使うものです。揮発性溶剤の多用は、絵具の接着力を弱めます。揮発性溶剤は絵具の流動性をたかめてくれますが、最初から最後までテレピンだけで描くといったやりかたをしてはいけません。
筆のリンス効果をうたったものは、筆毛を柔軟に保つ効果のある界面活性剤と乳化剤が配合されています。このタイプは、水を加えると白く乳化してしまうので、そのままで使います。